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執筆者の写真petomoni

コロナ禍でも年間100回開催、毎回「ほぼ満席」のペット撮影会 〜 ペットと人が共生する社会を目指して〜

petomoni(ペトモニ)は2018年12月から、株式会社ホームセンターバローが運営する総合ペットショップ「ペットフォレスト」(本社:岐阜県多治見市、代表取締役社長:和賀登盛作)での撮影会を定期的に開催してきた。

初回からクチコミなどで徐々に参加者を増やし、2021年にはコロナ禍でも年間で100回開催を達成。予約は毎回「ほぼ満席」になるなど、人気の高いイベントに成長した。


「ペットフォレスト」は企業理念に「ペットと人の共存共生」を掲げており、petomoni(ペトモニ)のビジョンと共鳴する点も多い。

今回は、撮影会を100回開催するに至った経緯や企業理念について、運営会社である株式会社スタジオタカノ代表取締役の髙野と、petomoniディレクターの天野が、ペットフォレストのエリアマネージャー藤野亮さんと話した。



ペットが主役の撮影会


髙野: petomoniの撮影会をペットフォレストさんで行うようになって3年半ほど経ちます。そもそも初めは、どのような理由から導入してくださったのでしょうか。


藤野さん(以下、敬称略): 導入当初の担当者からは、主に二つの理由があったと聞いています。一つ目はpetomoni(ペトモニ)さんのコンセプトである「ペットとの共生」と、我々が掲げている企業理念が合致していること。二つ目は、保護団体への寄付を初めから打ち出していた点に感銘を受けたことです。

ペットとの共生を目指す中で、我々の第一の目標は、飼い主とペットとの出会いの場を提供することです。とはいえ、ペットショップの役割は出会いの創出では終わりません。終生飼育(*1)に向けた、アクションを起こす「きっかけ作り」が非常に重要です。

petomoni(ペトモニ)さんとは撮影会だけでなく、コンセプトや理念も含めたその先を一緒に目指していけるのではないかと考えています。


(*1)飼育している動物が、その寿命を迎えるまで適切に飼育すること。平成25年(2013)施行の改正動物愛護法において、努力義務として明文化された。



天野: ペットフォレストさんでの初回撮影会は、武蔵藤沢店さんでした。私たちもまだ始めたばかりで試行錯誤していた頃でもありました。


藤野: ペットと家族が遊んでいるところから撮影に入るのが印象的でした。自然で飾り気の無い感じですよね。


髙野: そうですね。写真だけを単純にお渡しするのではなく、そこで一緒に頑張って撮影したという記憶も、一緒に持って帰って欲しいという意味で、出会ったところから撮影会は始まっています。


天野: それと動物たちが、自然な姿でリラックスしていられるような配慮をしています。ご家族もペットがリラックスしていると安心するんですよね。

「じっとできなくても、お座りできなくても大丈夫」と伝えて、ありのままで良いとお話ししています。


藤野: 今までの撮影会にはない写真の仕上がりで、見学に来られる方も「自分も参加したい」と、徐々にクチコミで広まっていった印象があります。特に常連の方にお声掛けいただいたのが大きかったですね。


天野: 最初はどの会場でも満席になることはありませんでした。

それでも皆さんから「参加してよかった、嬉しい」と喜んでいただいて、私たちの理念や思いに共感して応援してもらえたのが、何よりも嬉しかったのを覚えています。

これから何を大切にして進めていけば良いのか、それを知る大切な期間でした。


藤野: 店舗でも事前にお客様へ告知を行ってはいましたが、最初から満席という状況ではありませんでしたね。


天野: ペットフォレストさんのスタッフさんにどういう撮影会か知ってもらった後から、凄く予約が増えた気がします。撮影会を体験することで、お互いの掲げる理念が共通することに気づいて頂けたのではないでしょうか。

武蔵藤沢店さんでも2回、3回と回を重ねるにつれ、スタッフさんが強く押してくれるようになりました。お客様との会話を大切にされているおかげで、自然な流れで撮影会のご案内をしていただいているんだなと思います。


藤野: 私自身もペットの撮影会にはいろいろ参加しましたが、ここまでかっこよさや美しさが一目で伝わる撮影会はありませんでした。最初に参加されたお客様がアンテナになってくださった最大の理由も、そこだと思います。


髙野: ものすごく手前みそなのですが、撮影会に参加された方が喜んでくださっていると思うんですね。皆さんの喜びがスタッフさんに伝わって、「やっぱり誘って良かった」と感じていただけているのではないでしょうか。


撮影会を開催する意義と思い。スタッフへの相乗効果

髙野: ペットフォレストさんにとって、撮影会を開催する利点は何でしょう。

藤野: 開催回数を増やすことでお客様の来店頻度が多くなりますので、次に繋がるきっかけをもらっています。撮影会は店舗にとって、さまざまなチャンスが生まれる場所なんです。


天野: なるほど。

藤野: お恥ずかしい話ですが、実はこうしたイベントに対して、店舗は割と消極的です。自分たちの目の前でイベントが開催されていても、当事者意識を持っていただくことがなかなかできない。

ところが、petomoni(ペトモニ)さんの撮影会は、空間自体が今までの撮影会とはちょっと違うなと、感じたのではないでしょうか。スタッフ自身が良い意味で巻き込まれていきました。「あの人にも参加してもらいたい」「楽しい時間を過ごしてもらいたい」という思いから、率先してお客様におすすめし始めたんです。

結果、イベントに対するスタッフの関心はとても高くなりました。先ほどお話しに出た「誘ってよかった」という満足感が、自然で自発的なアクションになったと思います。

お二人から見て、ペットフォレストのスタッフの印象はいかがですか。


天野: 個人的な感想ですが、ペットフォレストさんのスタッフさんは常にお客様とお話ししている印象があります。お客様が探しているものを一緒に探していたり、ご案内をしていたりする場面がとても多いですよね。

藤野: インターネットでも商品のことはわかりますが、結局、限られた情報しか得られません。「生きた情報」と我々はよく言いますが、自分で使って得た情報が非常に大切です。対面販売ではこれを補って伝えることができます。

実は私が入社したのは6年ほど前ですが、最初に店舗を見た時には「なぜほぼ定価販売で売れるのだろう?」と不思議でした。言葉で説明されてもピンと来ない。でも実際にスタッフの動きや営業の流れを見ると、会話の大切さが良く理解できます。お客様との関わり合いが次に繋がる起点となって行くんです。


天野: お客様に対してだけでなく、私たち撮影会スタッフにも凄くお気遣いいただいていて、本当にコミュニケーションを大切にされているんだなと感じています。

髙野: みんな優しい。本当にびっくりしますよ。「いらっしゃいませ、ありがとうございました」の挨拶の間に紋切り型ではないコミュニケーションがあって、会話になるんですよ。実はスタッフさんが一番動物好きなんだな、といつも感じます。


藤野: 必ずしも何かを買っていただく必要はありません。見ているだけでも全く問題無くて、その空間にいて感じたことに対してアクションをいただく。店舗はそういう場だと思っています。




コロナ禍でも年間100回開催

天野: 新型コロナウイルス感染拡大の影響はいかがでしたか。


藤野: 当時は本当に情報が少なくて、最初の2~3カ月は客数も大幅に減少しました。どこもそうだと思いますが、我々もどこから着手したらいいのかわからず、手探りで奮闘していました。

一方、撮影会に関しては、お客様からも問合せが何件か来ている状況でした。元々、撮影会は密になる要素がありませんでしたし、petomoni(ペトモニ)さんと運営方法をすり合わせたうえで、安全に配慮して開催する旨をご説明すると、大抵のお客様がそれでご納得されていました。ですから撮影会にはあまり影響は無かったですよね。


髙野: どちらかというと参加者が増えましたね。


天野: 予約は満席に近い状態でした。


藤野: コロナ禍が始まった2020年は年間60回程度の開催でした。定員の関係で参加出来ないお客様が次第に多くなり、問い合わせも増加しました。そこで、より多くの場を設けるため「ちょうど区切りが良いから、100回開催できないか」と、我々の方から相談しました。そうしたらもう、秒でご了承いただいて。凄いと思いました。


一同: (笑)


藤野: 週に1〜2回は必ずどこかの店舗で開催していました。店舗によっては月に1.5回くらい、2カ月空かないペースの所もありましたね。


髙野: 開催に関しては、私たちも非常に悩みました。ただカメラマンとしては、強引かもしれませんが「いまを逃してたまるか」という責任感がありました。例えば、高齢などの理由で命が差し迫っているペットがいた場合、いまを逃してしまうと次はないかもしれないですよね。どうにかして「安心して来られる場所作りをしなければいけない」という思いが、当時は強くありました。

天野と相談して、まず「こちらからは中止を申し入れない」と決めました。そのうえでどうやったら開催できるのかを考えました。

コロナ禍の最初は「逆に気合を入れなきゃいけない」そんな思いがありました。


ペットと人が共生する社会を目指して 髙野: ペットフォレストさんが昨年出店した店舗では、生体販売を行わない所もあると聞きます。どういった理由で決断されたのでしょうか。


藤野: 犬猫の生体販売を行わない店舗を作るという選択肢は、ワンちゃん猫ちゃんの購入目的でいらっしゃる方の来店理由が損なわれてしまわないか、かなり難しい決断でした。世界に目を向けると、欧米ではペットショップで生体販売をしなくなっていて、大きな流れに追随できないと、時代に乗り遅れて取り残されてしまいます。

しかし一方で、我々はペットをお迎えする出会いの場として店舗を構えています。「出会う」という意味では、販売も譲渡も同じです。ペットと一口に言っても「保護したい」方もいれば、「買いたい」方もいます。全店舗で生体販売を止めてしまうと、出会いの機会自体が失われかねません。「保護動物の譲渡会」と「生体販売」のどちらも選べる「出会いをつなぐ場」として、店舗をご活用いただきたいと考えています。

ペットショップは保護動物を生む温床のように言われることがあります。そうした部分があるのも事実です。同時に我々は、保護動物を増やさないための方法も常に考えています。

その回答のひとつが「関わり」です。人もそうですが、社会から孤立するとさまざまな問題が出てきます。人も動物も対等に接し家族の一員として孤立させない、こうした努力が重要だと思います。


髙野: 僕らも販売することには否定的ではないんです。出会い方はいろいろあっていいというのは、まさしくその通りだと思います。


天野: 「ペットショップが悪だ」とおっしゃる方も中にはいらっしゃいます。でも重要なのは、どこでお迎えするかではなく、命にきちんと責任を持つというそれぞれの覚悟ですよね。そして迎えたからには「いまある幸せ」を感じながら、楽しく過ごしてほしいです。ペットショップで迎えたから、うしろめたさを感じる必要はないし、保護施設で迎えたから、他の迎え方より偉いわけではありません。


藤野: 保護動物の殺処分頭数は年々減少していると聞きます。petomoniさんの活動の中で、こうした結果の手ごたえは何かありますか?


髙野: これはとても難しい点です。そもそもの解決策は怪我をなくすことだと思いますが、僕らの活動は傷口に絆創膏を貼るようなもので、そうした根本的な仕組み作りにはまったくタッチできていません。

僕らの活動で目に見える手ごたえは、あくまでも撮影会に参加した方の喜ぶ姿であって、殺処分頭数の減少に役に立っている実感は、残念ながらあまりありません。


藤野: 本当に難しいですよね。それぞれの団体の思惑や考え方、理想が全然違いますし、個人の考えが反映されやすい部分でもあります。


天野: 保護団体さんの考え方もさまざまです。目指している所は同じはずなのですが、いろいろなしがらみがあるようで、うまく横の繋がりが作れないなど本当に難しいようです


藤野: 寄付に関して言うと、我々は団体様の目の敵にされている立場なので、話しの席にさえ付けない状況です。寄付も「あなたたちのお金はいりません」という感じになってしまいます。どんなに説明しても「きれいごと」と片付けられてしまうため、なかなかうまく伝えられずにいます。頭ではご理解いただけても、やはり感情がお許しにならないんですね。我々も感情は理解できますので、余計に辛さがあります。

そんな中でも、なんとかお話を聞いて下さる団体様が、1〜2団体つながりつつあります。まだまだ具体的に何かが進んでいるわけではありませんが、こうした努力はし続けて行く必要があります。


髙野: 少し話は違いますが、実は農家さんにとっては鹿や猪は害獣なんです。毎年、莫大な被害を受けていて、行政が猟師さんに依頼して、年間約120万頭 (*2)を駆除してもらっている状況です。ところがそのうち、お肉として活用されるのは10%ほどで、あとは処分されてしまいます。

つまり動物にしてみれば「悪」だと思いますが、農家さんにしてみれば、実際に被害を受けているわけですから「正義」ですよね。


藤野: あー、立ち位置で「正義と悪」がころころと変わってしまうんですね。

髙野: 「正義の反対は悪」ではなくて、人間同士でいうと「正義の反対も正義」になってしまいます。だからぶつかるのは当たり前で、どちらの意見も「正義」なんです。「人と動物の共生」って、まさにこういうことを考えることだと思います。


(*2) イノシシ、シカの捕獲頭数の推移(令和2年9月10日環境省調べ)https://www.maff.go.jp/kanto/nouson/shigen/chojyu/attach/pdf/index-12.pdf


撮影会の今後の展望

藤野: 今年はペットフォレストでも平日開催を強めに行っていく予定です。


天野: ペットフォレストさんの今年の撮影会は120回程を計画していて、去年を上回る数字になりそうです。


髙野: サービスに対しては皆さんに喜んでいただけていて、価値を見いだせたかなと感じています。今後、更に多くの方に提供していければと思います。

写真のクオリティでいうと、まだまだ追求できる余白がありますし、向上する姿勢を絶対に緩めてはいけないと思います。更に喜んでいただける物を提供できるよう、日々、考えています。


天野: いまは関東圏を中心に行っていますが、日本中を飛び回って開催していきたいです。今後も「いま動物と共にある幸せ」を改めて感じていただける機会を、日本中に作っていきたいなと思っています。それに向けて、写真のクオリティも含め、サービスや企業様との連携を深めていきたいと考えています。


髙野: ペットフォレストさんは、リハビリなど終生飼育のサービスをスタートさせていますね。


藤野: 今季から「ドッグマッサージ」などを始めます。サービスが、かなり人に近くなってきていますね。今後は動物たちに何が必要かを見極めて、次の段階へ繋げていこうと考えています。


髙野・天野: 本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。


藤野: ありがとうございました。

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